第35章 フェイタン《5》
『かっ、、はっ、、っ、、、』
自分の首に手を回し力を入れる
酸素が体に入ってこなくなり苦しい
「…………、何やてるね」
人の気配なんて感じなかった。
そのため驚きで手に入っていた力が緩む
『ゲホッゲホッ!……はぁ、はぁ、……ゲホッ………』
声の聞こえた方に薄っすらと涙が溜まった目を向ける
「何をしてたかときいてるね」
私を睨みつけるように立っていたのは幻影旅団団員フェイタン
あぁ、彼に会うのはどれくらいぶりだろう?
すごく長い間会っていない気がする
『久しぶりだね〜フェイタン。』
彼に睨まれることには慣れている
もう、何年も前から睨まれ続けているのだ慣れないほうがおかしいだろう
そんな彼の背に腕を回し抱きしめる
「ワタシのいてたこと聞いてたね?」
『うん。聞いてたよ』
彼の顔に頬をすり寄せ微笑む
低くなった声も恐怖には感じず心地よい音色に聞こえる
「だたら、ワタシの質問に答えるよ」
『ふふ、答えたら私の首、ギューってしてくれる?』
彼から体を離し、再び自分の首に手を回す
そして、軽く手に力を入れ首を傾げる
その様子を嫌そうに見つめる彼は
数分の間私を睨み大きく息を吐くと細い手をこちらへ伸ばす
『っ⁉︎』
その手は私の首ではなく手首を掴み硬い床へと押し倒される
「ワタシは何回もやめろといたね」
正面から目を見て話しかける彼に少し怒りが湧く
何故、彼は私のお願いを聞いてくれないの?
何故、彼は私を硬い床なんかに押し付けるの?
何故、彼は私から唯一の楽しみを奪おうとするの?
『息をできないようにすることは私の楽しみだよ?』
「危険ね」
『それで死んでも悔いはないよ』
「…………ワタシが嫌ね」
そう言って顔を背ける彼は珍しく頬を赤くする
嫌だと言われても私の死だ。
私の好きにしてもいいはず
それを勝手に決められるなんておかしい
言葉に出さず目だけで訴える
「そんな顔しても何も変わらないね」
彼はそう言って私を抱きしめる
「愛してるね。ぜたい、ワタシのそばから離れるな」
そう呟く彼の声は酷く気分が良いものだった………
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