第33章 シャルナーク《3》
「居たぞ!おえ!!」
数人の男の声が街灯の光る道でこだまする
激しく息を切らしてさらに暗い場所を探す
『はは、、、はぁ、はっ、発見』
それなりに背後を追ってくる奴らと距離をとり
全く光の届いていない路地裏へと飛び込む
今日ほど黒い服を着ていて良かったと思った日はない
「誰?」
『っ⁉︎』
不意に背後に現れたのは金髪の少年
まさかこんなに小さな少年に背後をとられるとは思ってもいないことで驚き固まった
『はは、なんだ僕ちゃん居たんだね』
ここで大声を出されては隠れた意味がなくなるため恐怖を抱かせないように微笑む
「俺はシャルナークだよ」
『そ、そう。シャルナーク君ごめんね勝手に飛び込んできちゃってびっくりしたでしょ?』
「別に。」
『あ、そうなんだ』
数人の足音と叫び声が近寄ってくる
とっさに開きかけていた少年、シャルナークの口を抑えしゃがみこむ
『ちょーっと黙っててね』
優しく耳元で囁きかける
シャルナークは普通の子供とは違い暴れることなく私の腕に収まっている
そのまま音が消えるのを待ち続ける
『ふぅ、セーフかな』
静寂がその場を包み込み始めたころ
私はシャルナークから手を離した
「お姉さんは誰なの?」
君はそれしか疑問に思わないのか?
なんて心で思いながらも口には出さないでおく
『ちゃんと私の言うこと聞いてくれたしシャルナーク君になら教えてあげるよ』
そう言って微笑み私の名を語る
この変わった少年を気に入っていると私が気付くまで後数年
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「見つからないなー。。。」
今日もパソコンの前で情報を探す
幼少期に会った黒服の女性
彼女に会うためにどれほどの時間を情報収集に費やしたか
「、、、、」
微笑む君の顔がいつまでも繊細に頭の中に浮かび上がる
H27.3.5