第31章 イルミ=ゾルディック《4》
“溺水性愛”
いつ、彼が特別な性癖の人だと知っただろう
「ねぇ、おぼれてるとこ見せてよ」
『また?』
「うん。いいでしょ?」
いいわけがない。
溺れることの苦しさを彼はわかっているのか?
『やだ。』
「なんで」
『しんどいから』
ふーん、と言いながらなぜか立ち上がった彼は浴室へと向かう
嫌な雰囲気を感じつまんでいたブドウを口に放り込み残りを袋に詰め持ち帰る
さて、苦しい目にあう前にさっさと逃げよう
「どこ行くつもり?」
『、、ブドウ食べなきゃよかった』
思った以上にブドウで時間をかけたらしい
部屋を出ようとしたころにはイルミに腕を掴まれてた
「ほら、行くよ」
『私さ、やだって言ったよね』
「そんなの知らない。俺が見たいんだから見せてよ」
『やだ。ちょっ⁉︎』
容姿の割に力の強いイルミに担がれる
ねぇ、彼女を担ぐってどういうことですか
そこはお姫様抱っことかじゃないんですか
そんなこと言ったってどうこうなるわけではないので心の中で呟く
「はい、浸かって」
『服を着たままって気持ち悪いんだけど』
「いいから、早く」
わざと大きなため息をつき浴槽へ浸かる
服が体にまとわりつき気分がいいとはいえない
『っ⁉︎!』
いきなり顔を水中に浸けられ酸素を求めてもがく
口からは空気が泡となり出て行く
苦しい。
呼吸ができない。
気を失う直前イルミは力を緩める
『っ!はぁ、はぁ、ゲホッゲホッ、はぁ、』
体は多くの酸素を取り込もうと必死だ
いきなりすぎやしないか?
そんな意味を込めイルミを睨むもただ、首をかしげるだけで伝わらない
「もう一回できるよね」
その答えはただひとつしかない
『できないっていったら、、、怒る、、くせに、、』
呼吸が整わないまま喋ったからか言葉が上手く話せない
「そんなことないよ」
嘘つき。
一度始めたら満足するまでやめないのがイルミだ
こうなったら私に拒否権など存在しない
「さぁ、もう一回やろうか」
珍しく上がる彼の口角
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