第30章 パイロ
『、、、何これ。。』
数年ぶりに村に戻ってきた私の目に写ったのは破壊された村とクルタ族の屍
先に気になったのは弟。パイロの存在
『パイロ。。パイロ!』
瓦礫の山を走り抜ける
パイロと遊んだ公園を通りすぎ
パイロと一緒に入った図書館
パイロと入った食堂
パイロと育った我が家
『父さん。母さん。。。。パイロ』
ただ静かに倒れる3人
あぁ、最後に彼らはどんな光景を目にしたのだろう
私の愛するパイロは何を目にして死んだのだろう
《「お姉ちゃん、いってらっしゃい。絶対に帰ってきてね》
記憶に新しい弟の笑顔は明るくて眩しくて
”誰もいないのならここで、、みんなのいるここで、、死のう。。”
一瞬頭によぎった言葉を振り払うため左右に頭を揺らす
そんなことしても弟は喜ばない
それよりも、悲しむだろう
『お姉ちゃん、パイロを悲しませることはしないよ』
冷たくなった彼を最後に力一杯抱きしめ立ち上がる
いつかまた会えたならもう一度あの笑顔で私を呼んでね
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「お姉ちゃん」
『。。。。。。。パ、イロ?』
君と会うのはそんなに遠くない未来のことだった
H27.3.2