第3章 クロロ=ルシルフル
Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi
『もしもし、めずらしいね。どうしたの?』
〔あぁ、少し手を貸して欲しくてな。今、大丈夫か?〕
『あ、ちょっと待って』
すでに虫の息だったターゲットにトドメを刺し
再び携帯に耳を傾ける
『で、何をして欲しいの?』
〔優れた除念師の大体の居場所を教えて欲しい〕
『除念師?まぁ、いいけどなんでまた私に?シャルとかに調べてもらったらいいのに』
部屋中にたちこめる鉄の匂いを不快に思いながら金目のものを袋に詰めていく
〔かなり厄介な念をかけられてな仲間とのコミュニケーションがとれない状態だ〕
あー、なるほどね。
シャルとコミュニケーションがとれないから私に頼んだんだ
そして、除念師を頼むってことは自分の念も使えないってこと
クロロなら盗賊の極意【スキルハンター】で自分にかかった念を解除することができたはずだから
1人で納得して頷きながら5階の窓へと歩み寄る
『へぇー、でもそんな大事なこと私に教えても良かったの?』
今、幻影旅団団長は念も使えない状態だって言いふらすかもよ?
なんて、冗談を言ってみる
まぁ、そんなことするわけないけどね
満タンになった袋を肩にかけ窓から飛び降りる
〔ザザッことザザーザッいザザッ〕
下から吹き上げる風が耳元で響いてうまく聞き取れない
『ごめーん!!また掛け直す!!』
大きな声で電話の向こうにいるクロロにしっかり聞こえるように叫ぶ
”聞こえない”
なんて口実をつけて実はもっとクロロと話しがしたいだけだ
『嬉しいこと言ってくれるじゃん!』
熱を持った頬を風が冷ます
〔お前のことは誰よりも信用しているからな〕
『あー!好きだなー!』
私の本当の気持ちにいつかは気づいてもらいたいものだ
着地までの数秒間
君の言葉がずっと頭を回っていた
H27.2.4