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✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第28章 クロロ=ルシルフル《3》





『お兄ちゃん。お金ちょーだい?』

「無理だ」


スパッと言いきった兄。

その目は本にひっついて離れない

久々にたった一人の妹が帰ってきたというのにこの態度は一体どうことなのか


『ちょーだいよー!お兄ちゃんいっぱい持ってるでしょ!』

「俺が持ってるのはこの本だけだ」


嫌味ったらしく組んだ長い足を組み直し

細く長い指で示すのは大きな本棚


『。。。。最近ヨークシンのオークション襲ったよね?その時のやつは?』

「売った」

『その時のお金は!!』

「ない」

『なんで!?』


大きなため息をつき本にひっついてた兄の目は私を見つめる

”優しい目”

そう、兄の目は優しいのだ

冷徹な性格と言われているがそんなことはない


「そんなに金が必要な理由は?」

『男に貢いだら一銭もなくなった』

「。。。俺の妹だとは思えんな」

『、、、好きだったんだよ。好きだったらなんでも買ってあげたくなるじゃん』


こみ上げてきた悲しい感情

捨てられた時は心臓が抉り出されたような感覚のあと

全て凍った部屋に投げ入れられた感覚になり

最後には頬をいくつもの涙が伝う

あんな体験初めてだった


「泣くな。もう、そいつのことは忘れたらいい」

『、、む、、りだ、よ』


大きな手で私を撫でるその手は暖かく

安心する


「忘れるまで俺がそばにいてやる」

『、お、、にいちゃん、、』


流れつづける涙が止まるまで兄はずっと私の頭を撫で続けるのだろう

優しい私の兄だから



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『理由言ったからお金ちょーだい?』

「無理だ」

『えー!ケチー!!』


H27.2.27

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