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✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第26章 クラピカ《3》




潮風が頬を撫でる

風に乗ってどこかへ行ってしまいそうになる帽子を抑え暗くなった空を見上げる


『綺麗な海だね』

「あぁ、そうだな」


少し口角をあげ微笑むその姿はやはり美しくて女性と見間違うのは仕方のないことだと思う

そのことを言えばきっと怒って倍の言葉で返してくるのだろうが


「、、、」

『何?』

「う、、、」


口ごもり中々言葉を出さないクラピカ

嫌な予感がする


「今は忙しくてあまり一緒にいてられないが」


少し赤くなった頬が暗闇の中薄っすらと見える

私の顔は彼から見えているのだろうか

見えていたらどんな顔をしているのだろう


「仕事が落ち着いたら私の、、その、、だな、」


その続きは聞きたくない

今、この瞬間、時間が止まってしまえばいいのに

数秒間繰り返し頭を巡る言葉


「、、、妻になってくれないか。。」

『っ!!』


胸を強く握られた感覚

その刹那頬を一筋の涙がつたう


「?すまない。嫌だったか?」

『ううん、嬉しい。嬉しいよ』


微笑む私を抱きしめるクラピカの手は暖かく優しい

相変わらず流れ続ける

これは嬉し涙なのだろうか?

なら、なぜこんなにも悲しいのだろう


「返事をもらってもいいか?」

『。。。うん。』


強く吹いた潮風が膝丈のスカートの裾を軽くめくる

露わになった太ももからは0の数字を背負う蜘蛛の刺青


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貴方を好きなってしまったことをこんなにも後悔しているなんて言えるわけがない。




H27.2.26



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