第12章 キルア=ゾルディック
夜。
目がさめると君が私に馬乗りになって身動きが取れない状態だった
「これが俺の仕事だから………」
そう言って鋭く尖った手を振り上げている
君がそう呟くのは何度目だろうか
『クスッ。キルア、そのセリフ何回目?ずっと同じこと言ってるよ』
こんな場面で笑ってしまう私はおかしいのだろうか?
それともこんな場面だから恐怖を押し殺そうとわらってしまうのか?
いや、難しいことは考えないでおこう
「……………俺のこと怖くねーの?」
潤んだ瞳で問われる
あぁ、そんな顔しないで私は笑顔の君が好きだよ
お互い口以外はピクリとも動かない
『怖くないって言ったら嘘になる。でも、どうせ殺されるならキルアの方が嬉しい』
好きな人だから。
大好きな人だから。
愛してる人だから。
そんな君に殺されるなんて本望だよ
まぁ、本心を言うと死にたくないんだけどね
「なぁ、俺と逃げよ。」
『ゾルディック家から?そんなの無理だよ』
「やってみねーとわかんねーだろ!!」
『やらなくてもわかる。無理だよ』
どちらにしろ私は殺される。
ゾルディック家から逃げるとなると必ずと言っていいほど長男さんがでてくる
彼は私の事を好いていない
『ほら、早くしないと心配してゾルディック家の人が来るんじゃない?』
「っ。」
、、、私が手伝ってあげるよ
空中で静止していた手を掴み自分の胸へ突き刺す
『かはっ!』
「!!」
あぁ、痛い。
すっごい痛い。
でも、ここで苦しい顔なんてしたくない。
君の好きだって言ってくれた、、笑顔で、、、
『さよ。。。なら。。』
「ーーーー!!!!」
最後に目に映ったのは涙を流す君と私たちを嘲笑うかのように赤く染まった三日月だった
H27.2.10