第11章 ヒソカ《2》
「、大丈夫かい?」
『大丈夫に見える?』
もう、瞼をあげることでさえ疲れるほど体中に力が入らなくなっている
私はもうすぐ死ぬ。
誰が見ても分かりきったことだ
それなのに君はまだ医者を探している
「クックッ、そんだけ話ができたら大丈夫だね❤︎」
『っ………』
「もう少しだよ、あと少しで見つかるからもう少し待っていてくれるかい?♠︎」
大きな手が私の頭を撫でる
その手はすごく優しくてこの手が多くの人の命を奪ったなんて想像がつかない
『ヒソカ、もう無理だよ』
あぁ、泣きそうだ。
声が震えはっきりと話せない
私の横で微かに殺気がする
だが、きっと彼は変わらず口の両端をあげて微笑んでいるのだろう
『ヒソカだって分かるでしょ?どんどんオーラも薄くなってる!力だって入らない!!話すのだってやっと!』
力をいれ目を開く
やはり微笑んでいる彼の顔が目に入る
『もう死ぬんだよ!!私は!生き残ることなんてできないんだ……』
不意に抱きしめられた。
それによって言葉はさえぎられる
『ヒソ…』
「。愛してるよ♣︎」
耳元で囁かれたその声はとても辛そうで悲しそうで、それでいて優しさが込められていた
『私も愛してるよ』
彼の背に手を這わせ言葉を発する
『だから、、、ね、、』
”もう、私の事はほっといて”
なんて、言葉の続きの代わりに私の口からは空気が漏れる
『………な……で……』
胸から多くの血が流れる
彼の手には私の血で染まった”❤︎のA”
体から力が抜けヒソカにもたれかかる状態になる
「どうせ死んだしまうなら僕の手で殺してあげるよ♠︎」
そんな泣くのをこらえた顔で笑われたら私が悲しくなるよ
『………好き………愛……してる』
「僕もだよ❤︎」
『だ……から……生きて………ね』
最後に君はなんて言ったんだろ
その言葉は私の耳には届かなかった
《『どうか。どうか私の分も生きて』》
H27.2.10