第101章 【夏ver.】キルア=ゾルディック
寒く冷たい冬とは一転して暖かく私の好きな季節夏がやってきた
自宅には白いタンクトップ1枚で寝転がりピコピコとゲームをするキルア
外はもう暗いので今日はこのまま泊まる気なのだろう
ならばしなくてはいけないことがある……
『キルア!花火しよ!!』
「…いきなり何言ってんだよ」
興味もなさそうに呟いた彼の目はこちらを見ていない
液晶ばかりみていたら目に悪いと理由をつけのりきでない彼を引っ張り外へ出る
もちろん、花火を片手に。
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『……落ちた。』
ジュッと音がなり小さな火の玉が硬いコンクリートに落ちる
隣では彼が赤い玉のついた花火を持ち笑ってる
「はぇよ!てか、お前ヘタすぎだろ!」
『うっさいな!思ったより難しいんだから!』
ケラケラと笑う彼と頬を膨らます私
そんな中、ジュッと聞こえるか聞こえないかわからないほどの小さな音
一瞬にしてその場が静かになる
『……キルアだって下手じゃん』
「…お前よりは長く続いたじゃねぇーか」
『そんなに差ないし』
黙り込み次の花火へと手を伸ばす
私はそんな彼の隣に移動し同じものに火をつけた
バーナーのように炎を吹き出すそれをともに眺める
『ねぇ、拗ねてんの?』
「拗ねてねえ」
どうやら私と同レベルだと言われたことが気にくわなかったらしい
おこちゃまだな。
空いた片手で頭を撫でてやると照れて耳が赤くなるそれでも嫌がらないということは嬉しいのだろう
『綺麗だね』
「そうだな」
だんだんと小さくなっていく火
そういえばこれが最後の花火だったな。
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冷たい物が喉を滑る
『今度はゴン君も誘って打ち上げ花火見に行かない?』
カランッと氷の崩れる音
再び液晶画面へと向かっている視線はこちらを見ようとはしない
「……2人でなら行く」
『ふふ、ヤキモチ妬きだね』
「ちげーし!」
頬を染める彼に口角が上がる
可愛らしい彼を見つめることができる優越感
『わかったよ、2人でいこ』
柔らかい髪を撫で微笑んだ
H27.8.18