第96章 【夏ver.】ヒソカ
濃紺色の浴衣に身を包んでいた人物が一瞬誰だかわからず一時停止する
『あれ、今日はノーメイクなんだ』
「こっちの方が絡まれなくてすむだろ?」
『あー、まぁそーなのかな』
確かに死に急ぎ野郎達はよってこないだろうけど
男を捜しに来た女からすればこいつはかなり顔面偏差値の高い良い獲物だ
イケメンすぎるのも考えようだな
「お腹すかないかい?」
『そう言われたら空いてきた』
"待ってて❤︎"
素敵な笑顔と共にどこかの屋台へと向かう彼
あ、やっぱり女に言い寄られてる
『……別にヤキモチとか妬かないから』
誰に言うわけでもなくボソッと呟いてみる
いくら顔がイケメンになったとしても中身は変わらず変態で
話しかけた女達は顔をしかめて離れていった
『あいつ、何言ったんだ……』
帰ってきた彼が持ってきたのはバナナチョコ
いや、なんでバナナチョコ?
焼きそばとかあるじゃん
突っ込みたい衝動に駆られるもひとまず落ち着き礼をいう
「美味しそうだろ?に似合うと思ってね♦︎」
『はぁ?似合う?バナナチョコが?』
「そうだよ♠︎食べてみて♣︎」
促されるがままに口に含む
甘いチョコとバナナがいい感じに混ざり合いなかなかいい味をだしている
久々に食べると普段の何倍も美味しく感じるものなんだな
「なんだか視覚的にエロいね❤︎」
『あんたが食べさせたんでしょ』
隣を歩く彼はメイクをしてもしてなくても変態臭が漂う
「とっても似合ってるよ♦︎」
『……変態』
一瞬で食べる気が失せたバナナチョコを片手に彼を睨みつける
何を思ったのかいきなり頬に手をあて上を向かされ驚きに瞳がでかくなる
「チョコ、ついてるよ♠︎」
『ちょ!何っ!?』
口のはしについたチョコを取るためだけに顔を近づけ舐められる
熱が顔中に広がる
ただでさえこの人混みで暑いのに……
「ごちそうさま♣︎」
『っ…うっさい黙れ。』
色っぽく口角に舌を這わすその様は、性格などしらない数多の女を落としてきたのだろう
かくなる私もこいつに落とされたわけなのだが
H27.8.18