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✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第1章 フェイタン




目を覚ます

少しの間何も考えずただただふかふかとした布団の上に座る

この時間が1番好き

あたりを見回すがいつも通りの”黒”



「」



そばで愛しい君の声

何も見えなくても君のその声が私を癒してくれる

だけどね、目が見えないと聴力が強くなるんだよ?

君の声がいつもより少し違うのだってすぐに気づく


「…………愛してたね」


あぁ、ついにその日が来てしまったんだね


「さよならするよ」

「もう会うことはないね」

「でも、悲しいなんていしゅんね」


きっと今の君の顔は涙と言うのが流れているんだろうね

何度も何度もつぶやく君からは少しの殺気が漏れている


『私を殺すの?』

「っ!!」


戸惑う声そして数歩下がる足の音


「ち、ちが『いいよ』なっ!!」


君が盗賊だと知ったときわかってたんだ

私はいつか君に殺されるって


『ほら、早く殺って?私が恐怖を感じる前に』

「………」


君の熱が私に伝わる

強く強く抱きしめ

優しく頬を撫で

唇を触れ合わせ


「さよなら」

『さよなら』


その刹那胸を貫く何か

あぁ、これがナイフというものか

少しづつだがちゃくちゃくと遠のく意識の中

どうせ死ぬのなら最後に美しい言葉でも飾ろう

そんな事を考えた


『愛してるよ。フェイタン』


酸素の足りない脳で考えた精一杯の美しい言葉

目の見えない私を愛してくれてありがとう

目の見えない私のそばにいててくれてありがとう

いつかまた会えたらその時はまた愛してね



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

息をしないを抱きしめつぶやく


「ワタシも愛してるよ」


その言葉も、もう






お前には届かない


H27.2.3

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