第91章 クラピカ《11》
『お父さん、お母さん、ごめんなさい』
愛する人に別れを告げ家を去る
薄暗い村に月の光が届く
俯き深くフードを引っ張り顔が見えないようにする
『明日。いや、明後日だったかな?』
名前などよく覚えていないがどこかの強い集団が私達の目を探していると言う情報を耳に入れた
日にちまで後少しだったのは覚えているんだけどな……
家族にこのことを知らせようかとも考えた
だが、その話が仲間へ回り全員で動けば移動中に殺られて終わりだ
『お父さんもお母さんもみんなを連れて逃げようとするんだろうな』
"はぁ"
小さくため息をつき空を見上げる
輝く月は私の赤くなった瞳を照らす
『………そういえば。クラピカは外の世界へ行ったんだよね』
数ヶ月前に出ていった兄のような幼馴染みを思い出す
このまま外の世界へ逃げればいつかは彼と会うのだろうか?
仲間を見捨てた私を彼はどう思うのだろう?
嫌われるの…かな?
『……ッ。やばい……泣けてきた。』
嫌われるのが嫌ならさっさと布団へ潜り込みその時が来るのを待てばいいだけだ
それができないのは私が自分自身を愛してるから
『死にたくないんだ……ごめん。』
いつか出会う君を思いながら涙を流す
さて、そろそろこの村とお別れをしよう
月明かりの下村に別れの言葉を告げる
《『さようなら』》
H27.8.6