第89章 クロロ=ルシルフル《13》
『マチ!最近いい店見つけたんだけど僕と一緒にどう?』
「これから数日間、暇がないから」
『まじか。そんじゃ仕方ねーなまた今度行こうな!』
ひとつに束ねたピンクの髪を揺らす彼女は
"わかったよ"っと一言
見えてないのを承知でその背中に向かってひらひらと手を振る
『団長。とても重大なお願いがあるのです』
「あぁ」
彼女が消えたと同時に団長へと視線を向ける
いつになく真面目に話しかける僕とは別に全く関心のない返事
『女の団員を増やしてください。』
「無理だ」
『即答!?』
それなりに傷ついた僕は目に涙をためいじける
ぶつぶつと小言を言うその姿が面白いのか上から降り注ぐ視線の雨
あまり居心地が良いとは言えないな……
「何故団員を増やしたい。返事しだいでは考えてやろ…」
『はい!!可愛い女の子に囲まれたいからです!』
「却下だ」
『えぇ!』
言葉を遮られたことが不服なのだろう
目を細め鋭い瞳が僕を捕らえる
「大体お前は女だろ?同性に惹かれるという特殊な奴がいるのは知っているがお前は違うはずだ」
『僕は団長のいう特殊なやつだよ』
「いや、違う。お前は男を対象と思うことができる」
僕を写していない瞳は一体何をみているのだろうか?
"今日の団長、何か変だ"
なんて、口にしても普通だという返事が返ってくるのは目に見えている
『…団長……何がいいたいんだよ?』
「………遊びはそれぐらいにして正気に戻れ。お前は女なんだもっと男をみろ」
[遊び]
貴方はそんな言葉で僕の想いをまとめる人じゃなかった
何がどうやって貴方の価値観を変えたのだろう
『……そう。遊びか。』
僕のことをわかってくれない人の側には居てたくない
もう、ここで終わりだね
『団長。とても重大なお願いがあるのです』
真面目な話をしましょう。
貴方の瞳に僕を写す
H27.7.31