第87章 シャルナーク《7》
「はぁ、ってさ馬鹿なの?」
ゆるゆると包帯を巻いていくシャルナークは大きな溜息をつきそう言う
そんな彼なんて視界にいれず屍の山を目に入れる
『………』
「何とかいいなよっ!」
『いっ!もう少し優しくできないわけ!?』
「はは、やっとこっち見た」
きつく締められた腕の傷。
睨みつけて見れば嬉しそうに笑う彼
本当にムカつく
「それにしても、今回のはやばかったんじゃない?俺がいないと死んでたよ?」
『………あんたには関係ない』
傷の手当てが終わったのを確認し立ち上がる
再び視界に屍をいれあの時の楽しみを思い出す
もしかすると私が死んだかもしれないあの戦闘。
上下左右から飛んできた様々な攻撃
それによって片腕は骨を折った
「?ニヤけてるけど何かいいことでも思い出した?」
『うん。』
「へー。……それって俺のこと?」
『違う』
背後から聞こえる声にちらりと目をむける
"こいつはいったい何を言い出すんだ"
そんな思いが脳内を埋める
「また、どっかいくつもり?」
『ここにいてても楽しくないしね』
「…蜘蛛に入りなよ。が好きな戦闘だって今以上にあるよ?俺のそばにだっていることできるし。ね?」
いつの間にか目の前にいた彼に片手を掴まれる
本当に何を言ってるのだろう
シャルナークのそばにいること、戦闘ができること両方とも私のしたいことじゃない
掴まれた片手を自身の頬に持っていきわざとらしく目を潤ませる
『私、別に戦闘が好きなわけじゃない』
「え、じゃあ、これは何?」
指の先には先程まで視界に入れていた山
『あぁ、私。ボレアフィリアなんだ』
「ボレア…フィリア?」
こいつにも知らないことあるんだ。
相変わらず離さない片手にいらだちが募るも彼の問に目を細め薄く微笑み答える
『うん。食うか食われるかの殺戮が大好きなの』
H27.7.28