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✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第86章 イルミ=ゾルディック《11》




《(後は若い2人でごゆっくり)》


その言葉がきっかけで私は表情一つ変えない彼と個室で2人っきり

恐らく何かが入っているであろうカップに視線を向け続ける


「あんたもついてないね。母さん、かなりあんたのこと気に入ってるよ」

『……そうですか。』

「うん」


一瞬で会話が終了。

私の受け答えが悪いのだろが直す気など全くない

白い指で優雅にカップを持ち上げ高そうな紅茶を口に含む

一連の動作がまるで映画のワンシーンのように美しい


「何?」

『いえ、何も。』

「そ。」


再びの静寂。

なんとなく手元にあったシロップを片手に取り彼を見る


『あの、これ、何が入ってるんですか?』

「え、毒だけど?」

『…毒、耐性ついてないんで飲めなんですが』


コテンと頭を傾げた彼。

その衝撃で綺麗な黒髪が肩から流れ落ちサラサラと擦れ音を立てる


「あ、そっか。ネンも知らないんだよね」

『…はい。』

「まぁ、これから教えたらいいか」


さすが暗殺一家。

毒物の耐性とかもできてるんだ

ここへ嫁いだら良く分からないことばかりになるんだろう

少しの不安に小さなため息が漏れる


「好きでも無い奴との結婚なんて嫌でしょ?」

『別にそんなことはないです。』

「俺のこと好きになったから?」

『え?』


突然のことに頭が回らなくなる

今日あったばかりの人をそう簡単に好きになれるだろうか?

もしや、なんと答えるか試されているのか?

相変わらず変わらない表情からは質問の意図など推測できるわけもなくただただ黙ってしまう


「……俺はあんたのこと気に入ったんだけど?」


暗い瞳に私がうつる


「は俺のこと好き?」


H27.7.26



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