第84章 クラピカ《9》
『ねぇ、何してんの?』
最近、やたらと鎖を体中に巻き付けていたと思えば今日は口に含みだしたそいつに問いかける
初めは美しいとさえ感じた黄色の髪も今では目に悪いなどと思わずにはいられない
「……鎖を具現化するための特訓だ。邪魔をするな」
随分と上からの物言いに腹が立つ
あぁ、これだよ。
これさえなければ私は君のこともその髪のことも好きだと思えたままだったのに
『あぁ、そう。それは悪うございましたね。あと、謝ったついでにひとつ言わせてもらうけどその特訓よそでやってくれないかな?』
"視界にチラチラ入って集中できないんだよね"
半分本音で半分嘘
集中できない半分顔を見たくない半分ってとこかな
私の言葉に瞳を細めあからさまに不機嫌になる君
「そっちがほかの場所でやればいいだろう」
『……ムカつく』
小声で言ったはずなのにやけに耳のいいそいつはこちらを睨みつける
茶色い瞳が赤く染まる
「言いたいことがあるならはっきりいえばどうだ」
『別に、面と向かってわざわざ言うようなことじゃないし』
ほら、その目。
世界七大美色と言われる緋の目
いつ見てもその目だけは嫌いになれない
「私の、邪魔を、するな」
『こちらこそ邪魔しないでほしいな』
今日も明日もその目を見るためだけに君を怒らせる
H27.7.23