第81章 キルア=ゾルディック《7》
『ふーん。あんたがビスケのゆってたサファイアね』
目の前の少年は警戒心を剥き出しにして突如現れた私を睨みつける
ガキにしてはなかなかいい反応かな
『私さ、ビスケの知り合いなんだ。』
「…っ。」
私が一歩近づけば彼は一歩退く
これではまともに話など聞けないだろう
少しは警戒を解いてもらいたい
『別にあんたに何かする気なんてないよただ話聞いて欲しいだけ』
「……信用できないね。お前があのババアの知り合いなんて証拠どこにもねぇし」
『あー、確かに証拠はないね』
"どうしようか"
っと顎に手を当て考える
ライセンスを見せたところでビスケの知り合いってことの証拠にはならないしな
『……私は。ブラックリストハンター。今年で20歳。さぁ、なにか聞きたいことある?今なら答えてあげるよ』
先程まで鋭くとがっていた瞳が大きく丸くなっている
いきなり自身の個人情報を暴露したんだ驚いて当然
『質問ないの?ないならついてきて欲しいんだけど?』
「……ビスケが今どこで何をしてるかゆってみてよ」
『そんなことでいいならゆってあげるよ。』
腕を組み小さな子供を見下ろす
先程よりは警戒心が緩み話が進む
『G.lの中でダイヤモンドとサファイアを磨いてるんでしょ?』
「はぁ?」
『あ、君たちのこと育ててるんだよね。宝石の名前しか聞いてないからわかんない』
再び丸くなる瞳
少し間があいて笑い声
「そんなんじゃ全然証拠になんねーし」
『しゃーないじゃん。そーとしか教えてくれなかったし』
大きな目を細め笑う
幼い子供の笑い声が響きわたる
『あぁ、そうだ。ハンター試験の会場まで送ってけって言われたんだけど来てくれる?』
「いや、行かない。あんたのこと信用できないし1人でいくよ」
緩んだ頬で言葉をつげる彼は初めとは見間違えるほどちがう
まだ警戒心は残っているが……
『そ。ビスケには送っていったって言っといてね』
「りょーかい」
私に背を向け片手だけで返事を返す
ふむ、相手に背を向けるなんて私は舐められているのか?
『もう少しきちんと教育しとけよゾルディック』
ふと脳裏に浮かんだ名前、誰にも聞こえないように呟く
H27.7.14