第78章 ヒソカ《11》
透き通ったガラスの靴を娘に差し出す
よほど気に入ったのだろうその娘は美しく微笑み私に礼を言う
『楽しんでおいで、シンデレラ。でも、わたしの魔法は十二時までしか続かないの。決してそれを忘れないでね』
「はい、行ってきます」
カボチャからできた馬車に乗り込みネズミの馬が軽快にそれを引っ張っていく
この後あの娘は王子様と出会い踊りを踊り恋に落ち……
『……主人公っていいな』
先程まで自由に使えたこの杖も役目を終えればただの棒
脇役は一瞬しか登場しない
役目を果たせば用無し
『どうせなら主人公になれる能力にしたらよかった。そしたら王子様に会えたのに………』
手に持った棒を投げ捨てその場に座る
いつからだろうこの世界に閉じこもるようになったのは。
「わざわざ会いにいかなくてもには僕がいるだろ?」
どこから、どうやってこの世界に入ってきたのだろうか
隣には視線を合わせるようにしゃがみこむヒソカさん
『ヒソカさんは王子様じゃないじゃない』
「だけの王子様だよ」
『何それ』
彼はいつも楽しませてくれる
差し出された手をとり森の奥へと進む
シンデレラ、せいぜい物語の中で幸せにね
現実はそう上手くいかないんだから。。。
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《『お母さんどうして殴るの??』》
《『私のこと愛してないの?』》
《『お母さん。。私はこの世界に生きてちゃダメなの?』》
H27.7.5