第73章 フェイタン《9》
彼の体温が背中から伝わってくる
静かに恐ろしいタイトルの本を読む彼は幼い子供のように見える
『フェイ、小さいね』
「殺されたいか?」
殺気はださないものの鋭い目で睨み付けられる
フェイはその目だけで人を殺せそうだね
口から出そうになった言葉を飲み込み"ヤダー"なんて可愛らしい声をだす
「そういうお前もちこいね」
『うん、殺すよ?』
「ははっ、できないくせに何いてるか」
『や、やれば出来る子だし……』
この人は嘲笑いしかできないのだろうか?
普通に微笑むところなど見た記憶がない
再び視線を本に戻した彼に思いっきり体重をかける
「……重いね。ささとどけ」
『重くないし。平均体重だし。てか、暇構え!』
「はぁ、、」
本を閉じる音の大きさが彼の不機嫌さを表している
ありゃ、ちょっとわがまま言い過ぎたかな?
大きなため息をつきこちらを振り返る
『んっ。……珍しい。』
「これで黙てるね」
本当に触れるだけのキス
久々の感覚に頬が緩む
もう、嬉しいことしてくれるなぁ。
『大好き。てか、愛してる』
「…………そか。」
H27.6.26