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✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第70章 イルミ=ゾルディック《9》



「様!大丈夫ですか!?いま手当を!」


手から流れ出る赤い液体は腕を伝い床に落ちる

そばを通った女に手をとられ大きな声を出される


『私のこと心配してるの?どうして?』

「どうしてって……怪我をされていたら誰だって心配しますよ」


そういった女は完成っと言ってその場をさっていった

丁寧に巻かれた包帯をみて呟く


『怪我…』

ーーーーーーーーーーーー


『兄さん手、怪我しちゃいました』

ボタボタと手から血が流れる

怪我をしたら兄さんも私のことを心配してくれる

あの女がそう言っていた


「え、何それ。どうしたらそうなるわけ?とりあえず召使に手当してもらいなよ」

『え、、兄さん……』

「じゃ、俺仕事だから」


私の頭に手を置き静かな廊下を玄関へと歩いていく

仕事へ向かう後ろ姿に"待って"なんて言葉をかける勇気は私にはない

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大きな扉が開く音がする

誰が帰ってきたのだろう?

「キル、血、出てるけどどうしたの?大丈夫?」


玄関に見えるのは兄さんと鋭い目つきの弟

頬から流れる赤いのはこの間私の手にあったものと同じで。

私とキルアとではこれほどまでに態度が違うのかと負の感情が心を襲う



「大丈夫。部屋戻る。」

「そう、ちゃんと傷口消毒しといてね」


兄さんに好かれているキルアなんて大嫌い


『死んでしまえばいいのに』


ふと口から出てきた言葉

2人を見かける度になんど心の中で弟を殺したことだろう

小さなだが、高級な羽毛でできた布団の上へ座る


『どうして私じゃないんですか……』


そう呟くのも何度目だろう
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