• テキストサイズ

✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第69章 クラピカ《7》




床に倒れた君の上に乗りあげる


『ねぇ、君はあいつの事が好きなんでしょ?』


口角をあげ顔全体に満面の笑みを浮かべる

長く伸びた髪が君の頬に当たりくすぐったそうに赤い目を細める


『ほら、今ならなんでもできるよ?』


息がかかるほど近くで囁き

あいつのように優しく微笑みかける

今日のためにどれほど練習してきたか


「お前は……では…ない」

『はは!僕もあいつと同じだ!僕だってだよ!』

「違う」


その言葉に腕を掴む手に力が入る

君はいくら煽っても一切表情を変えない

僕には魅力がないのだろうか?


『何が違うんだ?顔だって声だって体だってあいつと同じじゃないか!』

「違う。いくら見た形が同じでもお前はお前、は。そして私が心を惹かれているのは1人だ」

『っ!あいつは!!』


"あいつはお前の憎む蜘蛛の一員なんだぞ!!"


喉まででかかった言葉を飲み込み頬を濡らすものをぬぐい取る

こんなにも君のことを想っているのに
自分に負けるなんて屈辱以外のなんでもないな


『もう。帰る。』

「あぁ、次は……」

『次なんてないんじゃない?』


いつもと同じ何かを企むような歪んだ笑

赤い目に見られながら夜の闇に溶け込んでいく

ーーーーーーーーーーーーー

『そろそろ消えようか?』

『僕はまだ消えないよ』

『貴方は今の私には必要ない。消えろ』

『僕は僕だ。お前に命令される筋合いはない』

H27.6.14
/ 216ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp