第68章 シャルナーク《5》
流星街。
いらなくなったものが捨てられるここが私の居場所
「ちょっ、まって!話ぐらいっ…って、はぁ。切れたよ」
最近新しく作り直した家に居座るのは幼い頃からの付き合いであるシャルナーク
おおよそ女にでもフラれたのだろう今日で一体何人目だか
そう考えると今まで耐えてきた何かが切れ顔全体に笑みがこぼれる
『あっははは、フラれてやんのー!あはははもう爆笑もんだね!』
「うるさいよ。まぁ、本気じゃなかったから別にいいんだけどね」
『本気じゃないとか……相変わらず最低だね』
"盗賊にいいやつなんて居ると思う?"
なんて首だけをこっちに向けて話しかける彼は口角をあげている先ほどフラれたとは思えないほどの笑顔だ
『さぁ?ノブナガさんとか結構いい人じゃない?』
「へぇーってノブナガみたいなのがタイプなんだ」
『違いますぅー私にはちゃんと彼氏がいますぅー』
幻影旅団と呼ばれる盗賊団にどんな人がいるなんて知るわけもない私はふと浮かんだ名前を口にしたまさかそれがタイプだと言われるなんて思ってもいなかったが
そうこう話しているうちに携帯がなる
『もしもし?えっ?なにそれ。ちょっと!まっ!………きれた』
「あはは!そっちだってフラれてるじゃん!」
お腹をかかえて大笑いする彼の鳩尾に拳をめり込ませたい気持ちを抑え深呼吸をする
まさかこいつの後に自分までフラれるとは思いもしなかった自体だ
『別にーそろそろ別れようかなーって思ってたしー。ちょっと早くてびっくりしただけだしー!』
「苦しいいい訳だと思うけど?」
『うっ。あー!!』
苛立ちを全て込め頭からベッドへダイブ
まぁ、正直私も本気じゃなかったから傷つくなんてことはないただ、彼にバカにされることが嫌なだけだ
『はぁ、どっかにいい男いないかな』
「ここにいるけど?」
いつの間にか馬乗りになってくる彼の目には笑いすぎでなのか涙を浮かべている
童顔の癖に筋肉質な腕に掴まれると何も出来なくなるその度にあぁ、こいつも男なんだと思わされる
「自分で言うのもなんだけど俺、結構いい物件だと思うけど?俺とかどうなの?」
『え、絶対ない』
「冗談だし」
『うん、知ってる』
2人して頬をゆるめ笑い合う
やはり幼馴染みというのは楽で楽しい関係だ
H27.6.13