第61章 クロロ=ルシルフル《8》
『……だるい』
久々に感じた体中に重りをつけたような感覚
あぁ、風邪だ
「、起きるのが遅い。どうした?」
ノックも無しにいきなり部屋に入ってきたのは私の愛する彼氏様
何もなしに入るのはどうかと思うけどね
起き上がることもしんどいので暖かい布団にくるまりながら口だけを動かす
『風邪ひいた。多分熱もあるし動くのだるいから今日1日寝てる。うつるから早く出ていった方がいいよ』
あまりしゃべると菌をばらまくようなきがするため早口で言う
そんな私の優しさに気づかないのかその場に居座る彼に軽く苛立つ
「食欲はあるか?」
『ない。てか、早く出ていきなって』
「…あぁ」
短い返事と共に外へと出ていく後ろ姿
出ていけと言ったのは私なのにいざ出ていかれると寂しくなる
『……寝よ』
彼を呼んでしまう前に。
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金属と金属のぶつかる音が響く
普段から命の危険と隣り合わせだったせいか金属音には強く反応してしまう
『…誰』
うっすらとあけた視界の中で黒い何かが蠢く
「あぁ、目が覚めたか。ならこれでも食え」
『はぁ?』
可愛らしいうさぎのりんご
それを掴んで口元に持ってきたのはクロロ
食欲はないとゆったのを忘れたのか?
『いらない。私ねるかっ!!』
「いいから、食え」
怒鳴るために大きく広げた口にうさぎが勢い良くとびこんできた
甘い甘い香りと共に噛みごたえのある食感
『んっ、……おいし。』
「ふっ、そうか。あとひとつかふたつ食ったら明日まで寝ていたほうがいい」
乱暴に頭を撫で外へ出ていく彼の背に呼びかける
『ねぇ!寝るまでそばにいて、、ほしい、、』
「。。。いいだろう」
驚いた顔をした彼は微笑みベッドの横に腰掛ける
私の手を握りながら。
H27.5.24