第6章 シャルナーク
ピーンポーン
シンプルな部屋にインターホンの音がこだまする
『はい。』
「俺だよ、シャルナーク」
『シャル!ちょっとまってて!』
最近は何かと物騒だ、幻影旅団と名乗る人達がこの町に来ているらしい
そのため、数日に1回彼は私の家に来てくれる
『いらっしゃーい!今日ははやいね?お仕事お休み?』
扉の前にいる彼に飛びつき質問攻めにする
「はは、数日前にあったばっかじゃん。何?もう寂しかったの?」
背中から感じる温かい手のぬくもり
『うん。さみしいよ。また、どこか行っちゃうんじゃないかって心配になる』
シャルは実際に何年かに一度はどこかに行ってしまうのだ
それも、何も言わず勝手にいなくなるので私は振られたかどうかもわからない
それでもずっとまっているのはシャルを愛しているからなのだが
「………そっか。なんかごめんね。今までもたくさん寂しい思いさせたよね」
『ううん。』
とりあえず部屋に入ろっか。
そだね
廊下でいつまでも抱き付き合っていたら近所の人になんて噂されるかわかったものじゃない
シャルに促されるがまま部屋に入り2人揃ってソファーに座る
『飲み物いれようか?』
「いや、いらないや」
絡み合った手から体全身にシャルの体温が広がる
『お腹は?空いてない?』
「空いてないよ」
『そう。』
静かな時間が流れる
別に気まずいなんてことはない
ただ、手を握りあっているだけで
シャルと一緒にいるだけで幸せだ
『ねぇ、シャル。愛してるよ』
「………ん、ありがと」
あぁ、何故だろう
視界が霞んできて中々シャルの顔が見えない
『ずっとそばにいさせてね』
「…………眠いんでしょ?もう、寝てていいよ。また、起こしてあげる」
「そう?じゃあ、少しだけ。おやすみ」
『おやすみ』
突然の睡魔
目を閉じる瞬間に見えた君の悲しそうな顔
大丈夫。
すぐに起きるから…………
だから………
待って………て………
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「ごめんね。」
ゆっくりとだけど確実にこの世から居なくなった君に口付ける
「一緒にいることができないなら、、せめて、最後にそばに居たい」
俺のわがままで君を殺してごめん。。
H27.2.6