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✴︎HUNTER×HUNTER短編集

第53章 シャルナーク《4》




『ただいま〜』


殺風景な部屋に私の声が響き渡る

高いヒールを脱ぎ捨て彼に駆け寄る


『大人しくしてた?』

「はは、、、大人しくしてる以外にすることある?」


体中にまとわりつく黒いバラを恨めしそうに睨みつけた後、私の瞳を見つめ微笑む

少し前とは違い頭のいい彼は私に逆らうことをやめた


『ちょっと前は外に逃げ出そうと必死だったからまた何かしてたのかと思ったの』

「もう、そんなことしないよ」


ゆっくりと金髪を撫でてあげれば目を細め潤ませた目を向けてくる

こんなに可愛い彼を独り占めできる日が来るなんて夢のようだ


「だからさ、、このバラ取ってくれない?」

『…………え?』


突然のことに思わず声が裏返った

とる?バラを?

そんなの、彼を逃がしてあげるのと同じようなこと


「ダメかな?」

『ねぇ……シャルは…………私から逃げたいの?』


指先から順に身体中が震える

”怒り”や”悲しみ”様々な感情が頭の中を駆け巡る


「いや!そうじゃなっ!っ‼︎」


ポタポタと垂れる水はそばにあった花瓶のもの

一瞬怒りに満ちた目を向けたもののまた微笑む


「ごめん。ただ、動けたら君のことを抱きしめてあげられると思って」

『そうだったの、私、てっきり逃げたいのかと……』


あぁ、やっぱりシャルは頭がいいね

彼を抱きしめる

熱くなった体に冷たい頬が心地よい


『大丈夫。いつまでもずっとここで愛してあげるから』


そんな言葉に元気なく小さく頷く彼はきっと疲れていたのだろう



H27.4.26



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