第5章 ネテロ
『ネテロ会長』
キメラアントの王を倒しに支度を整えていた会長に声をかける
「おぉ、か。どうかしたかの?」
いつもと変わりない笑顔で窓から外を眺めるその姿はあまりにも儚げでそのままどこかに消えてしまいそうだった
『いえ、明日出て行かれると聞いたのでご挨拶にと思って』
「そうかそうか」
綺麗なオレンジ色の空を会長と共に眺める
数分の間何も考えずただただ空だけを見ていた
そういえば、会長と会った時もこんな夕焼け空だったな
なんて、昔の事を思い出しながら静かに隣に目を移す
『………………必ず帰ってきてくださいね』
「……帰ってきたら一緒に寿司でもいくかな?」
喋り出すまでの少しの間
『会長の奢りでお願いしますね』
「ふぉっふぉっちゃっかりしとるの〜」
その間で会長が何を考えていたのか
知るのはそう遠くなかった
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『帰ってきてくださいって言ったのに……………』
H27.2.5