第46章 3月21日
誕生日を終え
一人、月夜を
神殿の最上階=5階のベランダから眺めるケイト…
ケイト「生まれてこなければよかった…
ずっと我慢してきて
誰にもいわないようにしてきて
相談もしたくなかった…
自分一人だけ我慢して苦しめば
誰も
それを話されることによる苦しみを、味あわないですむ。
ずっとそう思って、
言わないように、考えないようにしてきた…
そうじゃないと、耐えられないから…
それで結局…
思い悩むばっかり…
自分がいるせいで、
人が苦しんだり悲しむことの方が耐えられない。
皆、
互いに迷惑かけて生きてるっていわれれば
それまでだけど…
頭でわかっていても
心中では、ばらばら…
解決法もつかめないまま
ずっと生きてきている…
こんな私が生きていて、よかったんだろうか?
なんていったらダメだし、皆精一杯生きてるんだから…
悩むよりも、
長い人生を楽しむように
乗り越え続けていかなければいけない…
父上も、祖父上も…
ずっと…遠い時から
先代たちが、そうあり続けてきたように…)
今日もまた、生きていこう(ぼそっ」
微笑みながら
皆、同じように苦しみ葛藤し
生きてきたことを学ぶ。
だからこそ…
皆の存在が温かく感じる。
それらによる日々が
とても、眩しく思える。
だからこそ…
かけていい人などいない。
互いが、互いの支えとなり
助けとなり、救いとなっている。
どんなに嫌だとしても…
それは全員同じというわけじゃない。
だからこその…世界なのだと…
だからこその…『今』なのだと…
そう感じ入りながら
遠い過去、どれほど傷付けられ
殺されかけ続けてきたとしても…
それよりも…
とても恵まれている今を
今まで築き上げてきた『想い出』を思い出し…
満面の笑みを浮かべる
ケイトさん…
その姿は…
一人であっても、一人ではありませんでした…