第20章 キリン
私たちは、キリンの親子の前にいた。
渋谷さんは、何が楽しいのか、ずっと見ていた。
その横顔を、私は嬉しく思い見つめてた。
すると、渋谷さんは、ゆっくりと口を開いた
渋谷「....弁当、旨かったわ」
「ふふっ、やったぁ!」
私は、本当に嬉しかった。
渋谷「彼氏は幸せやったやろなぁ..」
キリンを見つめながら、言った。
「えっ?」
渋谷さんの意外な言葉に驚いてしまった。
驚いた顔でいる私に
渋谷「.....戻るん?」
渋谷さんが何を言いたいか、直ぐに分かった。
「戻らないです」
私は迷いもせずにキッパリと告げた。
渋谷さんは、少しもキリンから目線を動かさずに
渋谷「...ふ~ん」
「だって、気持ちもないのに付き合うのは失礼でしょう?」
渋谷「まぁ、そうやなぁ...」
そう言うと、渋谷さんは口をつぐんでしまった。
渋谷さん?
何を考えてるですか?
いつもの渋谷さんじゃないですよ
私の心に、不安がよぎってくる。
そんな私をよそに
キリンを見つめ続けてる渋谷さん。
重い沈黙が流れる。
キリンは知らん顔でゆっくりと歩いていた。
「あーーっ!!!!」
私の突然の大きい声に、渋谷さんは驚いた。
渋谷「何やねん!」
「渋谷さん、見て下さい、あそこ、あそこです!」
私は興奮しながら、キリンを指を指す。
渋谷「えっ、何やねん、どこや?」
必死で見ようとする、渋谷さん。
「ほらぁ、赤ちゃんの首の所ですよ」
渋谷「あーーっ!ハートのマークやんけ!」
渋谷さんも見つけて喜んでくれた。
「ハートですよね、可愛いですよね」
渋谷「おん、おん」
嬉しそうに、頷く渋谷さんが可愛い
キリンさん、ありがとう....
もう少しで、また辛くなる所だった
私、このハートを忘れないよ、
この大好きな人と見た事を....
ちょっと意地悪で、でも、めちゃくちゃカッコイイん
だけど、可愛い渋谷さんと見た事を....