第50章 ボーイズトーク*青峰*火神*高尾
<高尾>
火神の彼女がいなくなったのにも気付かず二人は言い争いを続けている。
「似た者同士だし、しゃーないか。」
すると、携帯が鳴り高尾は画面を見て少し辺りを見回した。
「…あ。」
何かに気付いた高尾はそっと輪から離れ、足早に公園の方へと向かった。
「名前ちゃん、なーにこっそり見てんの?」
高尾は公園からバスケコートを見つめる名前の背後に回って声をかけた。
「うわぁ!和くん!今日ちょっと時間できたから試合見に寄ってみたんだけど、知らない人多いし何か声かけづらくて…。」
急に声をかけられて、名前は体をびくっと強張らせて驚いた。
「相変わらずの人見知りだねぇ。近付けない( ´△`)なんてメール来るから何事かと思った。」
「うー…。だって、それでも和くんのバスケ観たかったんだもん。」
伏し目がちに呟く名前に、高尾はふぅっと一つ息を吐いた。
「名前ちゃん、せめて場所くらいは言って?迎えに行ってあげられないじゃん。」
「忘れてたけど…和くんいつも私のこと見つけてくれるから。」
大事なことを忘れてしまうほど抜けているけど自分を頼りきっている彼女に、思わず高尾は愛しさを感じてしまった。
「見つけられるの俺だけだぜ?まぁ、でも…来てくれてやっぱ嬉しい!」
ぎゅうっと名前を抱き締めると、彼女はようやく頬を緩め幸せそうな表情に変わった。