第32章 可愛い顔して*桜井*
答えを見つけた私は、桜井に伝えるために彼を探した。
こういう日に限って部活が休みなので、彼が帰ってしまう前に捕まえるしかない。
すると、部室棟の入り口で部室に向かう彼の姿を背後から見つけた。
名前を呼ぶよりも先に咄嗟に行動していた。
走って彼に駆け寄り、後ろから腕を回し抱き付いた。
「えっ!?苗字さん!?」
「あたしやっぱり桜井が好きなの!あの時キスされたかったって思うくらい…じゃ答えにならない?」
そう告げると、彼は私の腕を引っ張り部室に誘い込んだ。
鍵をかける音と同時に、ぐっと身体を引き寄せられ唇に柔らかくて暖かなものが重なった。
唇からじわじわと身体中が熱くなる。
突然の出来事に私は驚き、ぺたんと座り込んでしまった。
まさかあの可愛い桜井がこんな大胆なことするなんて。
「あぁっ!苗字さん!スミマセン!スミマセン!」
「桜井…そのギャップはずるいよ。」
可愛い顔して意外と大胆な彼に、私はいつの間にか虜になっていた。