第9章 狩
私の隠れている扉をすり抜けた大倉は静かにしゃがんで、
震えているゲストに目線を合わせた。
大倉「貴女が神なら、貴女に問えばいい、
みんな、答えを知りたいんです....」
落ち着いた、優しい声で話しかけた。
「私は神じゃないけど、な、何を?」
私は震える声で精一杯に答えた。
大倉「我々が救われる方法を」
大倉の問いに私は必死で考えた。
こんな難しい問題の答えなど、
思い付くはずはなかった。
時間だけが無情に過ぎていく。
それが、私を焦らせていた。
その時、私の口が勝手に動いた。
「神は言っておられる、愛は全てを救うと...」
私は慌てて、口を抑えた。
大倉「愛…。
愛があれば…神は我々の存在と、
この行為もお許しになると……」
大倉は何かを思い出したかのように、
ゆっくり立ち上がり、喉を押さえた。
安田「愛....?」
安田も、その意外な言葉に驚き、部屋に入ってきた。
次々に現れる吸血鬼たち。
丸山「……この恐怖心も…」
丸山は、震えながら言葉を出した。
私の口はまた勝手に動いた。
「愛は全てを許し、慈しむ...。それが神の愛...」
この不思議な感覚はなんだろうと、自分が怖かった。
渋谷「神は俺らを愛して下さらなかった、
だから俺らはこんな身体になった…!」
渋谷が、突然大声を上げた。
横山「もう、やめろ...」
怯える私の前で叫ぶ渋谷を制御し、
横山はしゃがんで、静かに言った。
横山「貴女は、我々を愛して救ってくれますか?」
意外な答えに、私は戸惑った。その表情を見て、横山は微笑みながら続けた。
横山「貴女が救われる道は、それしかないですよ」
その冷たい言葉に、
今まで感じた事のない恐怖を感じた。