第3章 桃の部屋
「桃~あやめです」
結局四人で来た。
「はーい。あら、姫様、あやめ姉様。あと匡さんと令さんも」
「俺たちのときだけ露骨に嫌そうな顔するな。いい加減男嫌い直せよ。」
桃は結婚するのに男嫌いらしい。
「あら、八大の皆さんは平気ですよ。まあお茶淹れますから座っていてください。」
どうやって人間界を生きていたのだろう。男に接しないでお茶が淹れられる立場…
「桃って人間なのでしょう?いつからこの郷にいるの?それに名前も樹の名前だよね。なんで?」
実沙緒だけが知らないことがたくさんあった。
「十歳からですから…もう五年たちましたね…名前は人間界のままですよ。桃なんて名前どこにでもいますよ。きっと姫様の知り合いにも一人くらいいらっしゃいますよ。」
(桃がいるのってそんなに前からなんだ…だから相模さんのこと令って…)
「桃が来てからだものね、令さんや悠さんが出世したのも。」
やはり実沙緒の知らない事だった。
「僕の力じゃありませんよ。ただの人間の娘ですから。きっと幸せの力です。」
桃はとても素敵な考えの持ち主だった。