第1章 あやめの部屋
「あれ?姫様もしかして初対面ですか?」
実沙緒は初めて会う子だった。
「初めまして姫様。桃と申します。」
「桃は私の妹になる予定なんです!」
「僕っ子なのでよく百合だ~って言われてますけど完全に女の子なんで安心してください。笑」
桃は近代的なあやかしっぽくない子だった。
(妹になるってあやめさん言ってたよね…)
あやめの夫には弟がいる。
「もしかして伯耆君と結婚するの?」
「姫様するどいですね~そうです。僕もう少しで十六歳になるので。」
「十六!?大人っぽい!」
「ありがとうございます。光栄です。あっそうだ!一つ言い忘れていました。僕、人間なんですよ。」
実沙緒も人間なのだ。ただこの郷は天狗の一族、烏水の郷。人間は極めて珍しい。
「僕のことは呼び捨てにしてください。皆さんそうしていますから」
「うん。よろしくね、桃!」