第1章 お仕置き?
「なんだかんだで、こんなに人数が集まるなんて思いませんでしたね、七瀬先輩」
ニッコリと笑う四季に、隣に歩いていた七瀬は同じようににこやかにほほ笑んだ。
今日は学園の近くの大きな公園で卒業生や教員など仲の良かったメンバーで、お花見に行く約束をしていたのである。計画の発案者は海藤であり、全員がお酒を飲める年齢になったからと、楽しそうに誘われたのは半月ほど前のことであった。二十歳になってから、四季もまだお酒はほとんど飲んだことが無かった。
「楽しみですね」
大人しい性格の四季であったが、今回の花見は相当楽しみであったのか足取りも軽やかに公園へと向かっていく。そんな姿に七瀬は釘を打つのも忘れなかった。
「あまり飲んだことが無いんですから、無理だけはしないでくださいね」
(僕としては…あまり嬉しい行事でもないのですが…ね)
学園にいた時、まだ四季を自分のものにする前……恋敵がいたことを思い出してしまう。
楽しみにしていたお酒を注意されたことに、軽く反発心を覚えた四季は小さく膨れ…
「うちの両親、二人ともお酒に強いんで大丈夫ですよ!」
…その後、四季のその言葉を信じて注意深く四季のことを見ていなかった七瀬は後悔することとなる。