第40章 灰色のジャージ
体育館
烏養
「今日の伊達工戦はな、言わば、“ビールの一口目”だ!」
…はい?
烏養
「ビールの一口目の美味さは、最初だけの特別な美味さだ!」
武田
「烏養君、未成年にもわかる様にお願いします」
ビールの一口目って何⁉︎
コーラの一口目とは違うのかな?
烏養
「“変人速攻”が初お披露目だったからこそ、相手の意表を突く事が出来た訳だが」
一口目の美味さって、その事かな?
変人速攻がビールに例えられてる訳か…
烏養
「でも青城とは一度戦ってるから、ある程度手の内を知られてる。ただ、それでもお前達の攻撃力が高いのは確かだ。
先ずは、及川のあのサーブを凌ぐ事だな。あのサーブで流れを持って行かれるのが、一番嫌で且つ有り得るパターンだ」
確かに、練習試合の時もそうだったし…
烏養
「─で、今サーブは基本、“セッター以外の皆でとる”フォーメーションになってるが、今回は─」
コーチが、作戦ボードの磁石を移動させ、マジックで書き込みを入れた。