第40章 灰色のジャージ
確かに…私も、及川さんのプレーはサーブ以外知らない。
影山
「………」
唯一それを知っている飛雄が、めっちゃ顔強張らせてる…
烏養
「練習試合の時は?」
澤村
「3セット目のラストに、ライトの選手と交替でピンチサーバーとして入っただけです」
武田
「あの時は、2年生セッターが代わりに出ていたと入畑監督から伺っています」
暦
「当時、及川さんは捻挫の為に病院に行ってて遅れたらしいです。それと、及川さんの代わりに出ていたのは、今はベンチに居る6番の選手です」
確か、矢巾秀さんだっけ。
烏養
「……セッターってよ」
武田
「?」
烏養
「オーケストラの“指揮者”みてえだと思うんだよ。同じ曲、同じ楽団でも、“指揮者”が代われば─“音”が変わる」
及川さんのセットアップ、金田一君の囮に、岩泉さんのスパイク…
青城の得点。
菅原
「…なんつーか、すげー滑らかな連係だな…」
まるで流れる様に…綺麗なコンビネーション。