第52章 大事なこと
コーチにデコピンされたデコが痛い。
澤村
「鳴宮、」
澤村先輩に声をかけられて、私は後ろを振り返った。
暦
「Σわっ」
ぬっと、私の眼前に澤村先輩の手が伸びる。
先輩にもデコピンされる──
ポンッ
澤村
「俺らは怒ってないよ」
暦
「へ?」
目を瞑って構えたけど、デコピンはされなくて…代わりに、頭を軽く叩かれた。
澤村
「誰も鳴宮に退部して欲しいとか思ってないし、迷惑とも思ってない」
澤村先輩と、その奥に居る皆の、目が見える。
澤村
「鳴宮は、今までマネージャーとして俺らを支えてくれてたんだから、」
澤村先輩は、私に向かってニッと笑う。
澤村
「これぐらいの事で、俺らから追い出したりなんかしないよ」