第51章 大切なもの
ゴシゴシと、暦が制服の袖で涙を拭った。
暦
「途中で抜けるなんて、無責任だと思います…思われる方が良いです」
泣き止んで良かったけど…さっきまでより落ち着いてる暦の声に、俺は嫌な予感がした。
暦
「先輩方も、翔陽達も、コーチも先生も、優しい人だから…」
暦は、本当に最後にしようと──
暦
「止められるのが、とても辛いです…」
俺は、ブワッと頭の中が熱くなるのを感じた。
暦
「もうこれ以上、止めないでくださ─(日向「嫌だッ!!!」─!」
絶対に…絶ッ対に、暦を辞めさせない‼︎
暦
「翔陽……お願いだから…」
日向
「お願いって何だよ!絶対辞めちゃダメだからな!」
だって…
日向
「だって、やっぱり暦の意思じゃなかった‼︎」
全
「‼︎」
本当に暦の意思なら、泣く必要全然無いだろ‼︎