第51章 大切なもの
〜暦 side〜
腕は放されて、代わりに手を握られて…
暦
「………」
無言のまま、第二体育館に向かってる。
翔陽も、飛雄も、蛍も、忠も…何か言いたげなのに、何も言わない。
私の手が冷たくなってるからか、翔陽と飛雄の手をあたたかく感じる。
…居心地悪い…
その温もりも、後ろに感じる蛍と忠の視線も。
…逃げてしまいたい…
それが最低な事だって分かってても。
逃げたくて…頭と胸の中が痛い…
ギュッ
暦
「!」
翔陽が、手の力を強めた。
……まさか、逃げたいって気持ち見透かされた?