第50章 失いたくないもの
放課後──
山口
「暦ちゃん!」
HRが終わって直ぐ、忠に声をかけられた。
山口
「一緒に部活行こう!」
暦
「ごめん、先に行ってて」
山口
「えっ、な、何で…」
暦
「今日私、掃除当番だから」
忠が何か言おうとして、言い淀んだ。
何か言いたいのか、助けを求めるみたいにチラチラと蛍を見てる。
暦
「何?…何かあるの?」
山口
「〜〜〜っ」
月島
「…別に何も」
そう言って蛍は教室から出て行き、忠も数秒遅れて追いかけて行った。
それを見送った後…私は、一つ息を吐いた。
暦
「…しっかりしなきゃ…」