第47章 空気と流れ
滝ノ上
「あの細腕君の武器は、球を無回転で打つ〝ジャンプフローター〟っつぅサーブで、一見緩い球なのにレシーブの手前で軌道が変わったりブレたりする、魔球みたいなサーブなんだぜ‼︎」
平間
「うそーっ」
梢
「そーいや、誠先輩が山口君に教えてるんだっけ」
暦
「うん…忠から聞いた」
忠は、自分から嶋田さんに、仕事場まで行って頼んだらしい。
梢
「暦も教えたりしたのー?」
暦
「部活中に時々…」
翔陽や飛雄や蛍に追い付きたいって聞いた時は、私も嬉しく思った。
ジャンプフローターは得意だったし、力になりたかったから、アドバイスとかもしたけど…
嶋田
「繋心何考えてんだアホかああああ‼︎まだ精々マグレ当たりだ、って言っただろうがあああ」
暦
「ぶっちゃけまだ、忠の成功率高くないんだよっ」
嶋田さんも私も、頭を抱えながら小声で叫んだ。
梢
「武器と言える程じゃないと?」
暦
「練習始めたの最近だから、当然まだ上達してないよ…嶋田さんの言うように、マグレ当たりって感じで…」
滝ノ上
「今は、その〝マグレ当たり〟でさえ欲しいって事なんだろ」