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The Way【黒子のバスケ】

第10章 秘密


吹き付ける風が頬を刺す。
真冬の風は痛いほど冷たかった。

「さむ〜い!」

「ほんと、さみーな〜」


すると、心結がくしゃみをした。


「ん、大丈夫かよ?」

「大丈夫!寒いから早く帰ろ!」

そう言うと、心結は足早に歩き出した。そのあとを高尾も追う。


「つか、こんなさみーのにマフラーも手袋もしてねーの?」

「今日朝寝坊して急いでたら忘れちゃって…」

「…ふ〜ん」


高尾は突っ込んでいた制服のポケットから手を出すと、自分のマフラーをはずして心結に差し出した。


「ほら、」

「え、」

「風邪ひくだろ!貸してやるって」

「いいよ!和成寒いじゃん!」

「オレは大丈夫だよ。寒くねーし」

「…もう、意地張ってないでよ」

「張ってねーよ!和成くんの優しさ!ほら!」


受け取らない心結に痺れを切らして、高尾は無理矢理心結の首にマフラーを巻き付けた。
マフラーをしただけで、首元がほっこりあったかくなる。


「……ありがと」

「どういたしまして〜」


全く、いつも意地を張るんだから。
さっきまで寒いって縮こまってたクセに。

高尾はそんなこと気にもしないでまた制服のポケットに手を突っ込んで歩いている。
心結は先を歩く高尾の後ろ姿を見つめた。



それから数分歩くと、二つ並ぶ心結と高尾の家。
心結は巻いているマフラーを取ると、高尾に手渡した。


「マフラー、ありがと!」

「おー、風邪ひくなよ!」


そう言って別れを告げて、玄関に入ろうとすると高尾に名前を呼ばれ呼び止められた。



「……心結!」

「ん、なあに?」


振り向くと、高尾と目が合った。
目が合うのなんてしょっちゅうだから、特にお互い目を逸らすこともないはずなのだが、その時は目が合った瞬間に目を逸らされた。



「………あー、わり、なんでもねーわ」

「?そう?じゃ、また明日ね?」



高尾は心結に手を振ると、心結の家の1つ奥にある自宅へと歩き始めた。









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