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The Way【黒子のバスケ】

第9章 W・C


「……え、」


いきなりの高尾の謝罪の言葉に言葉を失う。


「勝てなかったよ。でも、全力出したから悔いはないんだ。真ちゃんと頑張って練習してた技も真ちゃん決めてくれたし」

「……うん、っ」

「…悔しいが、次こそは勝つのだよ。」

「……うん、っ」

「……ごめんな、勝てなくて」

「……決勝に、連れて行ってやりたかったのだよ」

「……うん、っ!」


そう言って二人は頭を撫でてくれた。
二人の手はあったかくて、おっきくて、また大粒の涙が溢れた。どれだけ歯を食いしばっても、涙は止まることなく目から溢れ続ける。
なんでいつも、二人はわたしに謝るのだろう。
一番辛いのは、どう考えたって自分のはずなのに。


「二人ともっ、ありがとぉ……バスケしてくれて、ありがとぉっ……」

二人が、大好きなバスケをしていることがたまらなく嬉しかった。そしてあの試合でたまらなく感動した。
本当に、バスケが好きで、秀徳高校に入って、みんなに出会えてよかったと思えた。その気持ちは口では言い表せない。


その姿を見て、緑間も高尾も、また目から涙を零した。
泣くことが恥ずかしいとは思わなかった。


「………あー、勝ちたかったなぁ…」


その日、暗い廊下でわたし達は気が済むまでずっと泣いていた。




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準決勝、秀徳は洛山に敗北、そして間もなく始まった誠凛対海常は、黒子・火神擁する誠凛高校が勝利、黄瀬擁する海常が敗北し、決勝戦に進んだのは誠凛、三位決定戦の相手は海常に決まった。


後日、決勝戦の誠凛対洛山、三位決定戦の秀徳対海常が同時進行で行われた。
三位決定戦は海常のエース・黄瀬が前回の試合で脚を負傷し欠場、秀徳は緑間・高尾の一年生コンビが絶好調というなか行われ、秀徳が勝利。ベスト3となり表彰台の座を勝ち取った。

そして決勝戦、皆勝つのは当たり前に洛山と思っていた。その通り、序盤は洛山が優勢だった。だが。
一年生ルーキーの黒子・火神の活躍で後半戦から誠凛の猛反撃が始まる。その波に乗り、わたし達を含め、会場全体は誠凛を応援し始めた。
その結果、誠凛はギリギリのところで洛山に勝利、まさかの結果でW・Cは創立二年目の新設高、誠凛高校が初の優勝、わたし達は三位という結果で今回のW・Cは幕を閉じた。





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