第9章 W・C
W・C6日目。
「…………まったく」
どんな因果なのだよ。
ため息をついた緑間の手には角行の駒。
ついにやってきたW・C6日目。
打倒、洛山を前に、控えのロッカールームの中は緊張が張り詰めていた。
今日のラッキーアイテムは将棋の駒。
帝光時代、将棋で赤司に一度も勝てなかったことを思い出す。その上、「敗北を教えてやる」と言ったのも将棋をしている時だ。
まったく、どんな因果だ。
「緑間何だそれ?将棋のコマ?」
「ラッキーアイテムです」
「おお 今日は小っちゃくていーや」
木村はゲラゲラと笑った。
宮地も尋ねる。
「んで今日は何位?かに座だっけ?」
「二位ですが」
「は?」
宮地は一気に眉間に皺を寄せる。
そして後ろ背に緑間を睨みつけた。
「なんだそりゃ 一位とってこいよ埋めんぞ」
「いや、占いなんで」
そのやりとりに高尾は爆笑し、監督は呆れきってため息をついている。
心結は緑間と高尾に歩み寄って言った。
「…あんまり、ムリしないでね。」
「大丈夫だって!心配すんな!」
「…真ちゃんもだよ?」
「…オレが、ヘマをするはずがないのだよ」
「……そうだよね!よしっ!行ってらっしゃい!」
心結は二人の背中を叩いた。
「よおし時間だ!行くぞ!!」
大坪の掛け声と共に、ロッカールームにいた全員が立ち上がり、みんなは大歓声が聞こえる会場へと向かっていった。