第8章 それはきっと、
体育館で高尾くんと話していたとき。
「先輩押さないでください!…うわあぁあ!」
「心結ちゃん!?」
ほんとは心結ちゃんは、飛び出してくるずっと前からあそこにいたはずなんだ。でもきっとわたしに気を使って戻ってきてないフリをしていたんだと思う。
今思えば夏祭りの時だってそうだ。
心結ちゃんはびっくりしてるわたしに向かってこっそりVサインを作ってにっこり微笑んだ。
それがわたしのためだったんだって気づいた時には恥ずかしくてその場から逃げ出していた。
あのあと、どうなったのだろうか。
緑間くんや先輩たちは気付いたとしても、高尾くんも気付いてしまったのだろうか。もしそうだとしたらどうしよう。まだ気持ちを伝えていないのに、恥ずかしくて合わせる顔がない。
ならもういっそのこと告白してしまおうか。
いや、でもやっぱり無理だ。
一歩を踏み出せない自分にウンザリする。
こんな風になったのは初めてで、もうどうしていいか分からなくて頭がパンク寸前だ。
『和成のことほんとに好きならさ、告白したほうがいいと思うよ?早く言わなきゃこのまま卒業しちゃうよ』
心結に言われた言葉が頭をよぎる。
もう好きになって半年経った。このままいくと本当に卒業してしまうか、高尾くんにだって相手が………
やっぱり、言おう。
当たって砕けたとしても、ずっと胸にしまっておくほうが嫌だ。このままでいるより伝えたほうがいいに決まってる。
でも、言うのは大会が終わってから。
それまでに覚悟を決めるんだ。
来月に控えたWC。
WCが終わるまでは、どうか、