第7章 鷹の目
「…やっぱ、お前は笑ってる方がかわいいよ。」
「何言ってんの、気持ち悪いんだけど」
「言われ慣れてないからって意地張ってんなよ笑」
高尾は笑いながら心結の頭をポンポンと叩いた。
心結の目は涙で真っ赤になっている。
「…今日の和成なんかへん。優しい」
「オレはいつも優しいだろ!」
「いつもはこんなこと言わない。」
「お前が泣くからだろ!…てか今日は泊まりにこいよ。久しぶりに母さんも妹ちゃんも喜ぶぜ」
いつも笑ってて涙なんて見せないはずの心結がその日初めて見せた弱いところ。
いつも一緒にいながらも心結の気持ちを気付いてやれなかったところに少し罪悪感が残る。
らしくない、とても女な一面をかわいいと思った。
泣きながら笑った心結の顔を、とても綺麗だと思ってしまった。
寂しい思いをさせたくない。
子供ながらにそう思った。
その日からオレは、心結のことが本気で好きになったんだ。