• テキストサイズ

The Way【黒子のバスケ】

第5章 replay


いくる日もいくる日もジャンケンを続けたが、緑間は一回も負けることなくいつもリアカーに乗っていた。
緑間の運が良すぎるのか、高尾の運が悪すぎるのか、一向に状況は変わらなかった。
心結も高尾に遠慮して乗らなかったり、朝練がある日を除いて別々に登校することも増えていた。


「夢おはよ!」

夢と呼ばれた女の子は心結の姿を確認すると耳からイヤホンをはずし、ポケットにしまいこんだ。
心結とは少し違い、控えめで大人しそうな女の子だ。

「おはよう、心結ちゃん!」

同じクラスである二人は席が近かったことで仲良くなりよく話すようになっていた。
高尾と緑間と登校しない日は夢と登校する。それも日課となっていた。

互いのことやクラスであったことなど、通学路での話は尽きない。いつもバスケの話ばかりではなく、こういった高校生の女の子がするような話をするのも楽しいもの。
明るく誰とでも話せる心結はすぐにクラスにも打ち解け、今では仲の良い友達もたくさんいる。
それでも一番仲が良いのは夢だった。


「心結ちゃんはいつもすごいなぁ」

「何が?」

二人で学食でお弁当を食べているところ、夢が唐突に口を開いた。


「みんなと仲良しで、面白くって」

「急にどうしたの?夢ったら」

「それにあんなに厳しいバスケ部のマネージャーで、いつも夜遅くまで練習に付き合ってるんでしょ?高尾くんと緑間くんと」

「練習に付き合ってるのは、ただわたしがバスケが好きだからだよ」

「それでも、わたしはすごいと思うよ。心結ちゃんが羨ましいなぁ…」


「うーん、そうかなぁ」

心結はお弁当を食べ終わり、元のようにお弁当を包みなおすとゆっくりとお茶を飲み始める。


「……心結ちゃん、いつも高尾くんと緑間くんと一緒にいて好きになったりしないの…?二人ともすごくかっこいいのに」

「しないなぁ。和成はただの幼馴染みだし、緑間くんもそんなんじゃないってゆーか、」

「そうなんだ…」

夢は少し悲しそうにそう答えてから弁当箱の蓋をしめた。

/ 344ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp