第15章 緑とオレンジ
「高尾くんっ」
「……夢」
緑間にあんなことを言われてから自分でも改めて考えた。正直、心結のことよりも夢のことのほうが重く心にのしかかった。
夢は緑間とあったことなんて何も知らずに今日もオレに笑顔を見せる。この笑顔を見るとなんとも申し訳なくなって、罪悪感に苛まれた。
こんなことをして最低だなんて自分でも分かっている。
分かっているのに緑間には全てを見透かされあんなことまで言われてしまった。その上言われた相手が緑間だからさらにグッと強く胸を抉られた気分だった。
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「……真ちゃん」
「……なんだ」
「……和成と何かあったの?」
「……お前には関係ないだろう」
学校帰り。心結と緑間は二人きりで歩いていた。
もう体育館は使用禁止になっているため、バスケ部も部活がなく学校が終わったらそのまま帰宅するように促された。
だからいつもは見られない真っ赤な夕日が見られる帰り道だった。
「……ごめんね。でもこの前から真ちゃんと和成仲悪くなってるみたいだからケンカしたのかなって思って」
「……ケンカではないのだよ」
「違うの?…ごめんね、関係ないのに口出ししちゃって」
心配してくれているのだろうか。
下を見ると寂しそうな心結の顔が見えた。
イライラしていたために少し強く当たってしまったことを後悔する。けれど高尾に言ったことを心結に言えば、また心結は不安になるだろう。それを考えるとまだ今は打ち明けることはできなかった。
「関係ないなんて言ってすまない。だが本当にケンカをしているわけではないのだよ」
謝ると心結は少しだけ優しく微笑んだ。
その顔を見るとこちらも安心できて、また改めて心の中で謝罪した。