第15章 緑とオレンジ
季節はもう3月で、あと少しで本当の卒業式。
あったかくなってきたとはいえ、外はまだまだ肌寒い。
受験を終えた先輩達は今は一時的に学校に来ていないし、在校生も直に訪れる春休みに胸を踊らせていた。
卒業式がある関係で、来週にはもう体育館がしばらくの間使えなくなる。ということは学校でバスケができなくなる。
「しばらく体育館が使えないということはしばらくバスケができないことになる。その前にたくさん練習しておくのだよ」
「てことは部活ない!?やったー!」
「やったーではないのだよ。しばらくバスケができないと体が鈍ってしまう。今のうちにしっかりと体を動かしておけ」
「へーい」
卒業式を来週に控えた秀徳高校。
放課後の体育館で緑間は言った。
毎日当たり前のように聞いているボールのドリブルの音にバッシュのスキール音。たかが数日とはいえ、今までほとんど休み無しでバスケをやってきた二人にとっては数日間ボールを触っていないだけで身体が鈍ってくる。
「でも真ちゃん、もう終わりの時間だよ」
そう言ったのは夢と共に体育館に入ってきた心結だった。
時計を見ると、部活終了の時間をまわっている。部員達もボールを片付けたり、帰りの支度を始めていた。
「もうこんな時間か…」
緑間と高尾も持っていたボールを籠にしまった。
「今日は終わんの早ーんだな」
「うん。部活終ったらちょうど心結ちゃんいたからついて来ちゃった!」
「夢が、和成がバスケしてるとこ見たいって言うからさ〜」
「ちょっ、心結ちゃんっ!」
心結の言葉に夢は顔を赤く染めた。
隣では高尾がケラケラと笑っている。
「片付け終ったらかーえろ!」
心結は手に持っている選手名簿をまとめながら言った。
すると、